英の横断・縦断研究
(MTProサイト記事より抜粋)
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1006/1006038.html
英ロンドン大学のMark Hamer氏らは精神病の既往のない人を対象とした横断・縦断研究から,非喫煙者の受動喫煙による唾液中コチニン濃度の上昇が心理的苦痛や将来の精神疾患発症リスクと関連していたことをArch Gen Psychiatry 6月7日オンライン版に報告した。同氏らによると,受動喫煙が一般人口の精神的健康に与える相関が前向きに検証された初の試験だという。
6年間の精神病院入院リスクはおよそ3倍
対象とされたのは,1998年または2003年における英国内の健康調査に参加した精神疾患の既往のない5,560例の非喫煙者(過去の喫煙者も含む,平均年齢49.8歳)および2,595例の喫煙者(同44.8歳)。
これら参加者における,GHQ-12精神健康調査票による心理的苦痛(スコア3以上で心理的苦痛ありと評価)と,6年の追跡期間内における精神科への入院の有無および唾液中のコチニン濃度との関係が検討された。
横断研究から,受動喫煙ありの非喫煙者(コチニン濃度0.70〜15μg/Lと定義,15μg/L以上の人は喫煙者として解析)の14.5%が心理的苦痛ありと判断された。受動喫煙のない非喫煙者と比較した場合の心理的苦痛のオッズ比は1.49(95%CI 1.13〜1.97)であった。
また6年間の追跡による前向き縦断的研究の結果,受動喫煙ありの非喫煙者における精神科入院の多変量補正ハザード比は2.84(95%CI 1.07〜7.59)に上昇していた。喫煙者の同ハザード比は3.74(95%CI 1.55〜8.98)であった。
既に動物実験においてたばこが陰性感情を引き起こすことや,ヒトを対象としたいくつかの検討から,喫煙とうつ症状の発現に関連があることが示唆されているという。Hamer氏らは,今回の結果を「ニコチン曝露が精神的健康を損なうとのエビデンスを裏づけるもの」としている。
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